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仕事終わって家に帰って玄関を開けたら 「ゆっ!」 って自分が帰宅したことに気づいたゆっくりが急いで玄関までやってきて 「ゆっくりしていってね!!」 なんて円満の笑みで言われてみたいです。 んで抱っこしてあげると、 「だっこ! ゆっくりだっこしていってね!!」 なんて言うからもう辛抱たまらん訳で。 ま、悲しい妄想なんです。 名前 コメント
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ノとは、挨拶のひとつ。 誕生 起源は定かではないが、正式な記述は (=゚ω゚)ノ ぃょぅ と、いう候補が有力とされている。 このアスキーアートの略として、手の部分である「ノ」のみが残されたのだと思われる。 意味 「こんにちは」を、よりフランクに言った意味合いで使われる。 親しい間柄で「やぁ」「よぅ」「ちーっす」などを使う代わりに表現されることが多く、 初対面の人に対して使うことは、場合によっては失礼に当たることもある。 「ノシ」について 「ノシ」というものも存在する。 これは「ノ」とよく似ているが、意味は逆で「さようなら」「じゃあね」「またね」といったニュアンスを持つ。 これについても起源は諸説あるが、元の形としては (^^)ノシ だといわれている。(顔の部分には本来何が入るのかはわかっていない) 手を振っているようなようすっぽく見えることから、このような意味合いを持つアスキーアートとなった。 関連項目 こn
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7 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 12 16 51.68 ID Xjcrb9Px0 [2/2] 新スレ開始のプチ報告しまっせ 某有名ファンタジーでPL募集をネットでかけてGMやった時の事 PLの一人が困った人だった 殺人鬼や人間の敵をやりたい、と最初に言い出して それはやめてくれと言ったら、不可ならば酒場のマスターをやる、と言い出した 冒険出れないしシナリオはどうするんですかと聞いたら、じゃあ舞台を街にして関係するのを酒場関連にすれば良いだけじゃないですかと それはできないと答えると、不可なら何が良いの?と聞かれたので、普通に冒険者やってくれと言ったんだ そしたら見下したように、なんだ結局GMの理想のパーティー像の押し付けですか、なんて言い出した さらに以下の主張をぺらぺらすらすらと言い出した GMの理想のパーティーの脳内当て(意訳ではなく本当に脳内当てと言った)なんて疲れるだけなのにねぇ じゃあ僕サンプルの経歴のキャラで良いですわ 何?サンプルのキャラも過去設定もできてない? 怠慢すぎるんじゃないの何やってるの?GMですよね? 脳内のりそうのぱーてぃーがあるんだったら当然準備してるんじゃないですかね? 普通のパーティーなら良かった?じゃあ普通って何ですか? 僕の周りの人だったら、普通に最初の要望満たせるし、そうでない場合は普通にキャラの過去設定用意してありますけどね? 僕の見立てだと君は吟遊だけど片手落ちの吟遊GMですね 僕の言う普通と君の言う普通がここまで乖離してるんだから君の感覚は当てにできませんね で、当然用意してるんでしょ?台本下さいよ台本 GMのりそうのぱーてぃーを演じてあげますからさ この辺で俺が切れてお開きにしたのでセッションやったらどうなってたかは知らない ただ何でこんな、初対面の人間にぺらぺらすらすらと攻撃的に言葉を浴びせられるんだろうと疑問はあった 8 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 12 37 28.67 ID kaRD0/sl0 [1/2] どこがプチなんですかね・・・ まあ、それはともかくそいつをさっさと叩き出すべきだったな 他のPLには何の罪もないんだから、じゃあ参加しなくていいですってバッサリ切って残った人とやるべきだった 第三者から見れば、お前さんも困と争った上でキレて勝手にセッション流した奴に見られかねない 9 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 13 06 35.20 ID dxhqYBTn0 いや、これは乙 開始早々の報告はプチじゃない、の法則が発動してしまったか・・・・ 8 それは言いすぎだろう これだけ煽られてGMをマトモにやれるのは凄いとは思うが やる気を無くしてもしょうがないと思うよ そこまでGMに責任求めてるお客様PLはちょっといただけないな 10 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 13 06 48.81 ID o5yrwrRdI 最近の創作キーワードは「ネットで入ってきたPL」だな 11 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 13 19 31.78 ID pwg8Zrxz0 困は困なんだけどこれ募集内容どうなってたの? オンセは妙に馴れ馴れしい奴や上から目線のが居るから遊んだこともない人には注意必須 12 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 13 38 36.90 ID w0LF9NTg0 [1/2] またのっけから重いのきたなあw おつかれおつかれ。 まあ、岡目八目ですまないが、ひょっとしたら普通に殺人鬼でもなんでも通常のレギュレーションで作らせておいて、 開始直後に「ではPCの皆さんが、路地裏から絹を裂くような悲鳴を聞いた所からスタートです。駆け付けます? ・・・では路地裏に、負傷した衛兵が何人か、倒れてうめき声を上げています その中心には、美少女に武器を突きつけた困さんのPCがいますね。」 みたいな展開にして、さっさと開始5分で死んで貰えばよかったかもw 13 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 13 50 43.52 ID v09S+rCN0 [1/2] 乙でした >酒場のマスターをやる、と言い出した 「じゃあ君たちは酒場を出て壇上に向かった。あ、キミ(困)の出番は終わったよお疲れ様」 って言われたらどうする気なんだろうなこいつ というか >じゃあ舞台を街にして関係するのを酒場関連にすれば良いだけじゃないですか 対応も何もなんで一人の我儘に全員をつきあわせなきゃならんのだ 他人を吟遊とののしる割には自分に合わせろっていう我儘気質と言うか、ぶっちゃけ言ってる本人が吟遊気質だよねこいつ なんか困な奴ほど気にくわない相手にすぐ「吟遊ダー」「あれあれ、困スレに報告しますよ^^」って言いだすのはなんでだろうな 先に相手にレッテル張っておけば自分は無罪放免とでも思ってるんだろうか 14 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 13 56 00.67 ID v09S+rCN0 [2/2] 壇上ってなんだ壇上ってダンジョンだよ あと追記 困な奴ほど~の部分は ※ただし「根拠もなく」または「無理やりな屁理屈」を元にした場合に限る、他者から見ても駄目だわこれって場合は除く をつけてください… 15 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 14 03 42.70 ID 8hEQBFB90 7 13 交渉のテクニックに「まず無茶な選択肢を出しておいて、もう少しマシな選択(本命)を相手に選ばせる」ってのがあるから それ狙って失敗した挙句に腹いせで因縁つけたんじゃないかなーって思うわ さっさと蹴りだして他の面子相手に続きを始めても良かったと思うけど もし残りもその困に同意orただ傍観するだけなら、セッション開催前にやめたのは正解だったかもしれんね 16 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 14 20 25.31 ID tQoy3R740 7 報告乙。 まぁ、何だ。キニスンナ GMもPLも同じ参加者なんだし、素人が失敗するのを含めての コンベンションじゃないか。わがままはスルーでいいと思うよ。 13 7の困PLみたいなのだと、 GM「酒場のシーンは今後予定無いから」 困「俺が酒場のマスターだからってのけものにしようとしてるんだむぎゃおー」 って言い出すと思うぞ? 20 名前:ゲーム好き名無しさん[sage] 投稿日:2014/04/29(火) 15 24 18.13 ID kaRD0/sl0 [2/2] 9 すまん、どう考えても悪いのは困一人なんだが、そう見られるかもしれないから気を付けた方がいいなって言いたかった にしても、他のPLがどういう反応したのかは確かに気になるな 15の言うとおり、何も言わずに成り行きを見守ってただけなら解散したのは賢明か スレ381
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8 名前:1/8[sage] 投稿日:2013/06/22(土) 21 19 49.04 ID q5te+lN70 [2/9] 最近やたらとツンデレが手料理に懲り出したら 「ただいまー…… あー、疲れた……」 『お帰りなさい、タカシ。すぐに着替えて、シャワー浴びて来て下さい。すぐにご飯ですからね』 「りょーかい。腹減ったあ…… 今日の飯、何なの?」 『ビーフシチューですよ。ほら。無駄口叩いてる暇があったら、さっさと身支度を整えて 来て下さい。汚いままで食卓に座るのは姉さんが許しませんからね』 「分かってるって。いちいち言わなくてもいいからさ」 『言わなきゃダメだから言ってるんじゃないですか。口答えするんじゃありません』 「はいはい。ったく、うるさいんだからよ……」 「お待たせ、姉さん」 『やっと来たんですね。全く、お鍋が焦げ付くかと思ったじゃないですか。今、よそいま すからちょっと待ってて下さい』 「ん? 何か今日のご飯、黄色くない?」 『ああ。サフランライスにしたんです。ビーフシチューに合わせようと思って。彩りが良 いと思いません?』 「へえ。つか、今日何かあったっけ?」 『はい? いいえ。何にもありませんけれどそれがどうかしましたか?』 「いや。何か珍しく手の込んだ料理作ってるからさ。最近は受験勉強とかで忙しくて、簡 単なものばかりだったのに」 『べ、別に私だってたまには料理に手間隙掛けたくなる時があるんです。ただそれだけですから』 「フーン…… まあいいや。とにかく食おうぜ。腹減って死にそうだし」 『大げさすぎます、タカシは。それと、お腹が空いているからってあまりがっついて食べ るんじゃありませんよ? ちゃんとゆっくり、よく味わって食べないとダメですからね』 「はいはい。それじゃあいただきます……っと」 カチャカチャ……フーッ…… ハムッ……モグモグ…… 『……………………』 「ん? どうしたの姉さん」 9 名前:2/8[sage] 投稿日:2013/06/22(土) 21 20 22.89 ID q5te+lN70 [3/9] 『は? な……何ですか?』 「いや。何で食わないのかなって思って。何かこっちばかりジッと見てるけどさ」 『たっ……食べるに決まってるじゃないですか!! タカシの方を見ていたのは、ちゃん と言いつけどおりゆっくり食べるかどうか監視していただけです』 「いちいちジロジロ見られてると気になるんだよな。言う事聞くから、姉さんも食事しててくれよ」 『べっ……別にずっと見てるつもりなんてありません。私だって熱いうちに食べたいです から。大体、タカシの食べてる姿なんて、別に見ていたいものでもありませんし』 「はいはい。それよか、ちょっとテレビ点けていい? 見たい番組があってさ」 『食事中にテレビ見るなんて行儀が悪いですから後にしなさい――って、もう点けてる し!! 止めなさいって言ってるのに、何で人の言う事聞かないんですかタカシは!!』 「今日はアメトーークがスペシャルだから見ておきたいんだよ。今日だけだからさ」 『タカシは私の作ったご飯よりもテレビの方が大事だって言いたいんですか? テレビな んて、録画しておいて後で見ればいいじゃないですか。わざわざ食事中に見る必要なんて ありません』 「いや。つい今さっきまで忘れててさ…… それに、リアルタイムで見ておきたいし。い いだろ? 朝は別にテレビ見ながらでも何も文句言わないんだから」 『朝はお天気だとか、交通情報だとか、確認しておかないといけない情報が多いから点け ているだけです。単なる娯楽と一緒にしないでください』 「それだけならNHKでいいじゃん。民放点けてるって事は、やっぱそれなりに姉さんも見 たがってるって事だろ? 同じことだって」 『朝は家事やったり学校行く支度しながら忙しいんです。そういう時は真面目なニュース より適当な情報番組の方がいいし、大体食事の時だけテレビ消すのも何か急に静かになっ て落ち着かないじゃないですか。でも、わざわざ点ける必要なんてないです』 「まあ、そう固い事言うなって。今日だけだからさ。大体姉さん、そんなんだから学校で も鉄の女だのサッチャーだの余計なあだ名付けられるんだって。もう少し融通利かせようぜ」 『誰が融通の利かない石頭ですかっ!! そんなのは決まりごとも守れないくせに偉そう に自分の事ばかり正当化するわがままな人たちが勝手に呼んでるだけです。もしかしてタ カシもそう思ってるとかじゃないでしょうね?』 「ま、まさか。俺は姉さんの事良く知ってるし、さすがにそこまでは思ってないけどさ。 ただ、家なんだし、もうちょっと緩くしてもいいんじゃないかなって。な、頼むよ姉さん」 10 名前:3/8[sage] 投稿日:2013/06/22(土) 21 20 53.80 ID q5te+lN70 [4/9] 『……分かりました。どうせ、このままご飯食べたって、どうせテレビが気になってよく 味わいもせずに食べちゃうでしょうから、今日は特別に許可します…… けれど、ちゃん と味わって食べないと許しませんからね』 「はいはい。分かってるから」 ~次の日~ 「お待たせ。へえ、今日はトンカツか。姉さん、今日も頑張ってるじゃん」 『な、何か特別みたいなこと言わないでください。私はちゃんと献立を考えて作ってるだ けですから。それと、今日はテレビ見ながらとか許しませんよ。ちゃんとご飯の時は食べ る事に集中しないとダメですから』 「今日はこの時間は特に見たいテレビもないから大丈夫。じゃあ、いただきます」 『いただきます』 「……………………」 『ちょっと、タカシ』 「へ? 何、姉さん」 『お米を食べる時は、ちゃんと茶碗を左手に持って食べなさい。そういう食べ方はみっと もないですよ』 「分かってるってば。ちょっと待ってくれよ」 『待つって、食事の時間でしょう? 一体何をやっているんですかっ!! テーブルの下 に手を入れて。ちゃんと出しなさい』 「もうちょっとだから……エイッ、と。ふう……」 『で、何をやってたんですか。ご飯もそっちのけで。言い訳次第によっては許しませんよ?』 「いや、その……ちょっとLINEに返信してただけだからさ。もう終わったからちゃんと 食べるよ」 『ライン? ラインって何ですか。ちゃんと姉さんに分かるように説明して下さい』 「えーとさ。俺も上手く言えないんだけど、仲間うちで登録して出来るソーシャルネット ……用は掲示板みたいなもんでさ。誰がこの書き込み読んだとか分かるようになってるん だよ。だから読んだ分は一応返事書いとかないとシカトしたと思われるし……」 『そうですか。何となく分かりました』 11 名前:4/8[sage] 投稿日:2013/06/22(土) 21 21 24.63 ID q5te+lN70 [5/9] 「分かってくれた? いや。素子に誘われて始めたんだけど、結構忙しいって言うかめん どくさくてさ。話題振ったのに返事しないと向こうも気にするらしいし……って、姉さん、 顔が怖いんだけどっ!!」 『顔が怖いとか失礼な事言わないで下さい。要するにタカシは、食事よりも携帯を弄る方 が大事なんですよね。それとも、素子さんとコミュニケーションを取る方がと言った方が いいですか?』 「ちが……違うってば。今のは山田の書き込みにレス返しただけだから。仲間うちみんな だから、5、6人は登録してるし」 『いいです。そんなに携帯でやり取りする方が大事なら、ご飯食べずにそっちを優先すれ ばいいでしょう? どうせ私の作ったご飯なんて楽しみでも何でもないんでしょうから』 「何拗ねてんだよ。姉さんの作る揚げ物とか、すごい好きだって。コンビニとかで売って る奴より全然美味いし」 『人のご飯をコンビニのジャンクフードなんかと一緒にしないで下さいっ!! もう、い いです。さっさと食べちゃって下さい』 「まあ、悪かったよ。明日からは食事中にスマホ弄らないようにするからさ」 『そんなのは当然です。作ってもらっているんだから、最低限のマナーくらいは守って貰 わないと、こっちだって気分悪いんですからね』 「了解。それじゃあ改めて、いただきます」 『(タカシのバカ。私の手料理より素子さんを優先するなんて、信じられません。でも、褒 めてくれたから、まあ許しますけど……)』 ~またまた次の日~ 『タカシっ!! もうご飯だって言っているじゃないですか。何度言ったら下りて来るん ですかっ!!』 ドタドタドタドタ 「はいはいはいはい。今行くからっ……と」 『全くもう……どれだけ人を待たせれば気が済むんですか。せっかくのご飯が冷めちゃうっ ていうのに』 13 名前:5/8[sage] 投稿日:2013/06/22(土) 21 21 55.69 ID q5te+lN70 [6/9] 「ゴメンゴメン。ちょっと手が離せなくてさ。お? 今日は鶏の唐揚げじゃん。姉さんが 二日連続で揚げ物作ってくれるなんて珍しい」 『そ、それは……ちょっとした気分です。別にタカシが揚げ物が好きだから作った訳じゃ ないですから……』 「まあいいや。とにかくいただきますっと」 『ちょっとタカシ。そんなにがっついて食べないで、もっとゆっくり味わって食べて下さい』 「ちゃんと……シャクッ……モグモグ……あひわっへふっへ……ゴクンッ……」 『口の中に物を入れたまま答えないで下さい。汚らしいじゃないですか、もう。食事中は ちゃんとマナーを守って貰わないと困ります』 ズズッ……ガッガッガッ……ゴク……ゴクッ…… 「フゥ…… ご馳走様」 『ちょっと、もう食べ終わるなんて早過ぎですっ!! ちゃんと良く噛んで食べてないで しょう? 早食いは健康にも悪いんですから。大体、何でそんな急いで食べる必要があっ たんですか』 「悪い。ちょっとオンゲーで友達待たしててさ。説教なら後で聞くから」 バンッ!! 「――っと……姉さん……?」 『……分かりました……』 「へ……分かったって…… な、何が……?」 『タカシは、私の手料理なんかより、テレビだとかスマホだとかゲームの方がよっぽど大 事なんですね?』 「い、いやいやいや。その……たまたま三日くらい忙しいのが重なったけどさ、そんな、 姉さんの飯を蔑ろにしてるとかそういうわけじゃ…… 『もういいですっ!!』 「わわっ!!」 『タカシの考えは良く分かりました。人を待たせているんでしょう? 私の事なんて放置 してさっさと行けばいいじゃないですか。その代わり、こっちにだって考えがありますか ら。せっかくタカシの為にと思って色々と手を掛けてお料理を作ったっていうのに……も う、知りませんっ!!』 ドタドタ……バタンッ!! 14 名前:6/8[sage] 投稿日:2013/06/22(土) 21 22 26.55 ID q5te+lN70 [7/9] 「やべえ……何か致命的な失敗した気がするな……」 ~数日後。学校~ 【有美―っ。何か二年の男の子が用あるってよ。結構可愛い子】 [マジで? ついにあたしにもモテ期が来たか。で、その子はどこにいるの? まさかロッ カーの中とかいって閉じ込めるパターンは無しよ] 【いやいや。ホントホント。教室の前で待ってるから、早く行ってあげなよ】 [よっしゃ。待ってろイケメン。お姉さんが手取り足取り口取り、優しく指導してあげる からねーっ!!] [って、何だぁ。タカシ君じゃん。つまんない] 「つまんないって何だよ。これでも上級生のクラス来て女子を呼び出すのって緊張するん だぜ。いくら有美ちゃんだからって言ってもさ」 [チッ…… そのだからっていう所がもう女子扱いされてないのよ。で、何の用なの? 愛 しのお姉ちゃんなら、生徒会の用事でホームルームが終わると同時にいなくなったわよ] 「知ってる。帰りが遅くなるから夜はカップ麺かコンビニで済ませろってメール来てたか ら。あと愛しのとか言うな。人に聞かれたら誤解されるだろが」 [じゃあ何? あたしにガチで用事あるとか? もしかして十四年近く近所付き合いして きたけど、今になってようやく姉じゃなくてこのあたしの魅力に気付いたとか?] 「いや。それは絶対にない。つか、有美ちゃんが俺にしてきた数々の仕打ちを思えば、惹 かれるとか有り得ないから」 [チッ。恋の告白とかじゃないのか。つまんないなー。タカシ君、結構イケメンだし、告 られたらそれはそれで自慢出来るのに] 「俺と付き合う気なんて無いくせによく言うぜ。つか、本題全然入れないんだけど」 [はいはい。どーぞどーぞ。このお姉さんがご意見番として、青少年の悩みを受け止めて あげるわよ。で、どんな悩み? 最近現実の女性に興奮しなくなってきたとか。よしきた。 それならこのお姉さんが二人っきりの個人授業で限界ギリギリのエロスを――] 15 名前:7/8[sage] 投稿日:2013/06/22(土) 21 22 57.32 ID q5te+lN70 [8/9] 「いや。下ネタはいいから。まあ、何つーか……姉さんの事なんだけどさ」 [何よ、ほら。やっぱり大大大好きーな敬ちゃんの事じゃん。ダメよ。あんた達、姉弟な んだからさ。まあ、好きになるのに垣根なんて無いのかもしれないけど、一応倫理っても のがあるんだからね] 「茶化さないでくれって。こっちは生活掛かってんだからさ。で、一つ聞くけど……最近 姉さんがちょっとおかしいんだけどさ。何か変わった事あった? 一週間くらい前とか」 [何よ。敬ちゃんがおかしいのなんていつもの事でしょ? 取り立てて気にする必要ない ってば。それとも、いつにも増してお花畑が咲いちゃってるとか?] 「それはそれで怖いけど、逆だって。有美ちゃんから見てて、何か気付いた事無いか?」 [そうねえ…… まあ最近機嫌悪いけど、それは結構あるし、矢面に立たされんのいっつ もあたしだから…… そういえば、変わった事といえば最近お弁当持って来なくなったわ よね。敬ちゃんが購買とか珍しいなって思ってたんだけど…… 逆に何かあった?] 「それなんだけどさ。こないだ3日間くらい、姉さん何故か料理に結構気合入っててさ。 何か手の込んだ料理で、しかも俺の好物ばかり作ってくれてたんだけど、たまたま見たい テレビがあったりLINEの返信しなくちゃいけなかったりで、そっち優先させてたら怒っ ちゃってさ。以来ずっと、ロクな飯作ってくれなくなっちゃって…… 俺もだけど親父ま でとばっちり食らうし。で、何かあったのかなーって」 [一週間前ねえ…… うーん……] 「思いつかない? まあ、姉さんなんてどっかしら何かやってるから、おかしい行動なん ていつもの事かも知れないけど、何かヒントにでもなるようなことないかな? 些細な事 でもいいんだけど」 [そうねえ…… ああ。そういえば敬ちゃん。珍しくラブレターを何か熱心に読んでたっけ] 「ラブレター? 姉さんにか?」 [そうよ。今の時代、確かに古風だけどね。でも、好きな女の子に全くコネがなかったら、 手紙くらいしか渡す手段ないでしょ? まあ、会って話したいって簡潔な内容から熱い想 いを書いてくる人まで色々いるけどね。あれで敬ちゃん美人だしモテるから。つか一人く らいこっちに寄越せっての] 「有美ちゃんは自分から狩りすれば草食系男子の一人や二人は食えそうだけどな」 [人を肉食恐竜みたく言うな。これでもうら若き十八の乙女なんだから。失礼だっての] 「ゴメンゴメン。で、そのラブレターって、内容なんだったの? 当然読んだんでしょ?」 16 名前:8/8[sage] 投稿日:2013/06/22(土) 21 23 47.90 ID q5te+lN70 [9/9] [まーね。といっても、文章そのまま覚えてる訳じゃないけど、まあ清楚でたおやかで、 それでいて家庭的な雰囲気も持っているところが惹かれるとか何とか。そういえば、別府 さんの手料理なんて食べられたら夢ですとか何とか書いてあったような……] 「手料理? 姉さんの?」 [そうよ。アンタは毎日朝昼晩と食べてるから感じないかもしれないけど、敬ちゃんに憧 れる男子からしてみれば…… あ~あ。なるほどね。そういう事か] 「は? 何がそういう事なんだよ」 [タカシ君さ。今度、敬ちゃんがご飯出してくれたら、何でもいいから褒めてあげなよ] 「褒める? 姉さんの料理をか? 何で今更」 [いいから。今日は外で買い食いしろって言われたんでしょ? じゃあ、明日の夜でも、 多分嫌いなメニューか出来合いのものしか出して来なさそうだけど、手作りだったらやっ ぱり姉さんの作ってくれるおかずが一番いいとか、レトルトなら姉さんの味が食べたいと か言ってさ。もの凄く怪訝な顔されると思うけど、多分次の日から普通に戻るから] 「大丈夫なんかな? 今更何言ってるんですかとか、めちゃくちゃ罵られそうなんだけど」 [男の子でしょ? 敬ちゃんの機嫌直したかったら、多少の痛みは我慢しなさい。いい?] 「分かったよ。まあ、有美ちゃんの言う事だし、刺し違える覚悟でやってみるさ」 [(にしても敬子ってば…… 好きな人から手料理を褒めて貰いたいって気持ちは分かる けどさ。弟だよ? 結婚十年の旦那から褒めて貰うよりもハードル高いってのに……)] 『(ああ、もう……タカシってば信じられません。私がせっかく、一生懸命、タカシが美味 しいって喜んで食べてくれる姿が見たいってだけで手間暇掛けて、大好物の料理を一生懸 命に作ったって言うのに……素子さんとスマホとかゲームとか…… あああ、もう頭に来 て頭に来て……)』 バキッ!! 「か、会長。今日、シャーペン折るの三本目なんですけど……」 終わり たまたま書き上げた妄想があったので投下しただけなんだからね
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唯「見て見てあずにゃん!でっかいお魚さんがいるよ!」キラキラ 梓「はしゃぎすぎですよ唯先輩」 唯「うわ~!こっちにはカニがいるよ!おいしそ~!」 梓「周りの視線が痛いですからやめてください!」 梓(本当にこの人は…かわいいなあ) 唯「なんかイルカショーがやるんだって!行ってみよう?」 梓「はい!」 唯「でもイルカなんて初めて見るな~。どんな感じなの?」 梓「えっ?見たことないんですか?」 唯「うん。憂の看病で忙しかったからね」 梓「…そうなんですか」 唯「あ~楽しみだな!早く行こうよ」 梓「はい…」 唯「うっわ~~!!かわいいよお!!」キラキラ 梓「はい!すっごくかわいいです!」 イルカ「キュイ!」ピョン 唯「とんだ~~~!?」 ザッパーーン 唯「うわっ!?水が…」 梓「あっちゃーびしょ濡れですね。大丈夫ですか?唯先輩」 唯「うん、結構ぬれちゃったけど…」ビチャビチャ 梓「!」ドキッ 唯「? どうしたのあずにゃん?」 梓(濡れた唯先輩、すごく色っぽい…///) 梓「なんでも…ないでふ」ポタポタ 唯「あずにゃん!?鼻血出てるよ!?」 唯「今日は楽しかったね~あずにゃん!」 梓「そうですね」 梓(律先輩が言っていた告白すると大体成功する景色の奇麗なスポットに来たぞ!) 梓(あっちょっと説明っぽくなった) 唯「ここってすごく景色がきれいだね!」 梓「はい!ここって結構有名な場所らしいですよ?」 唯「そうなんだ」 梓(やっぱり横顔もかわいいな。見とれてしまいそう…) 唯「……」 梓「……」 梓(どうしよう…なんだか気まずい…) 唯「あずにゃん」 梓「は、はい!?」 唯「今日はありがとうね。こんなに楽しかったのすごく久しぶりだったよ!」 梓「こちらこそ、とっても楽しかったですよ」 唯「…また来ようね?」 梓「はい!」 唯「……」 梓「……」 梓(うっ…また沈黙が…) 梓(いや!覚悟を決めろ梓!ここでしなきゃいつやるんだ!) 梓(……よし!) 梓「唯先輩!」 唯「ほい?」 梓「わたしは最初、唯先輩があまりにも完璧超人すぎてとっつきにくい先輩なのかなと思っていました」 唯「…うん」 梓「でもそんなことなくて…こんなわたしにもとても優しく接してくれるし、ほんわかしててあたたかくて…ギターもうまくて…」 唯「……」 梓「そしていつの間にか…唯先輩のことが好きになってました」 唯「……」 梓「もしこんなわたしでよかったら…唯先輩の傍にいてもいいなら…どうかお付き合いしてください!」 唯「……」 梓「~~~~~!!」ブルブル 唯「…顔あげて?あずにゃん」 梓「は、はい」 唯「わたしもね、あずにゃんを最初見たときかわいい子だなあって思ったんだ」 梓「…はい」 唯「それにとても真面目で自分に厳しくて…でもちゃっかりティータイムには顔出したりしてたけどね」 梓「うっ…」 唯「それでね、返事なんだけど…ごめん」 梓「!」 唯「わたしじゃあずにゃんの気持ちにこたえられないよ…だから付き合えない」 梓「…どうしてですか、わたしの何がいけなかったんですか?」 唯「あずにゃんは何も悪くないの。ただわたしが…」 梓「やっぱり妹さんのことですか?」 唯「!!!」 梓「…そうでしたか。唯先輩はわたしより妹の方がいいんですよね?」 唯「それはちがうよ!ちがうんだよあずにゃ…」 梓「違わないです!」 唯「!」ビクッ 梓「今日だって唯先輩は言ってました。イルカを見るのが初めてだって。妹の看病が忙しくって見れなかったんだって」 唯「……」 梓「あんなに楽しそうにしてたのに…唯先輩は妹さんにとらわれてるんです!少しは自由にしてもいいじゃないですか?」 唯「あの子の面倒を見れるのは私だけなの!あずにゃんは関係ない!」 梓「関係あります!唯先輩に迷惑をかける妹なんて…いない方がましです!」 唯「!」 バシッ 梓「…!?」 唯「…何もわからないくせに…わたしたちに口出ししないで!!」 梓「あ…」 唯「…ごめんね、ぶっちゃって。じゃあね…」タタタ 梓「あっ…ゆいせんぱ…」 梓「……」 梓「…わたし…取り返しのつかないことを…」 梓「わたし…最低だな…ヒクッ」 梓「どうしよう…唯先輩に…ヒクッ、嫌われちゃった…グス」 梓「うわああああああああああああん!」 ――翌日 梓(今日は部活に行けないや。行っても気まずいだけだし…) 梓(唯先輩に迷惑かけちゃったし…あやまっても許してもらえないだろうな…) 梓「これからどうしよう…」ハア 和「あら?梓じゃない」 梓「あ、和先輩…」 和「どうしたの?もう部活が始まってる時間よ?」 梓「えと、その…」 和「…なにかあったの?」 梓「いえいえ!なんでもないです!」ブンブン 和「ウソでしょ」 梓「うっ…」 和「さあ、わたしに話してみなさい。楽になるはずよ」 … 和「…そう…それは言っちゃいけないわね」 梓「はい…もう唯先輩に会わせる顔がないです…」 和「さすがの唯でも憂の話になると性格が変わっちゃうの」 梓「そうなんですか…」 和「昔の話をしてあげようかしら」 梓「お願いします」 和「昔の唯はね、今とは全く正反対だったの」 梓「そうなんですか?」 和「うん。一言でいえばなまけもの。いっつもダラーンとしててわたしと憂で世話してたの」 梓「あの唯先輩が…」 和「でも、たしか小学生だったかな。憂が突然倒れたの。心臓の病気で入院することになって…」 梓「……」 和「唯の家は両親が海外に行ったりしててお家にいないことが多かったの。その代わりわたしの両親が面倒見たりしてたんだけど…どうしても見れないときは憂が家の掃除とか料理とかしてたわ」 梓「その憂ちゃんが倒れたってことは…」 和「そう。唯はお家にひとりっきりでいることが多くなった。そんなときわたしの両親にこう言ったの。『わたしに家事を教えてください!』って」 梓「……」 和「それからは梓も知っての通り、家事全般ができる唯になったの」 梓「そうだったんですか…」 和「そして憂のことなんだけど…入院してて学校に行くこともできなくなって…だんだん暗くなっていったの」 梓「はい…」 和「そこで唯やわたしが憂が寂しくならないようにってほぼ毎日お見舞いに行ったの」 梓「……」 和「それから唯は憂につきっきりで…そんなもんだから学校での友達もどんどん減っていった」 和「その事情を知った憂は唯に負担をかけまいと、もうお見舞いに来ないでって言ったの」 梓「……」ゴクリ 和「そしたら唯は『友達なんかよりういの方が大事なの!』ってケンカを始めちゃって」 和「そのとき憂が突然発作を起こしちゃってね。一時は本当に危ないってところまでいったらしいわ」 梓「……」 和「そんな憂をみた唯は『もうこれ以上憂に悲しい思いをさせたくない』って思って、今まで以上に憂につきっきりになった。憂ももう反対できなかったらしいわ」 和「それからの唯は…学校もついでみたいな感じで、勉強はできるんだけど行事に参加しなくなったりして…クラスでも唯の存在が忘れかけられるほどだったの」 梓「そんな…」 和「中学校の卒アルに写ってる唯なんて笑顔がひとつも無かったわ」 梓「唯先輩…」 和「そんな唯を見かねたわたしは、高校に入ったら何でもいいから部活に入りなさいって言ったんだけど、唯は一向に入ろうとしなかったわ」 和「それで無理やり廃部の危機にあった軽音部に入れたの」 梓「そんな理由で入ったんですか…知らなかったです」 和「唯は最初は嫌々だったんだけど、軽音部のみんなが唯を引っ張ってあげて…そしたら唯にも次第に笑顔が増えていって…唯はギターにはまってのめり込んでいったわ」 和「いままでの会話の中心は憂のことだったけど、3対1の割合で軽音部の話も混ざるようになったの」 和「あんなに暗かった唯をあそこまで明るくさせた軽音部には感謝しきれないわ」 梓「そうだったんですか…なんか話を聞くとあんなことを言ったわたしが本当に情けないです…」 和「…でもね、梓。あなたが入ってからは1対1の割合で…憂と同じくらいの割合で軽音部のことを話すようになったの。もちろん、あなた中心でね」 梓「!」 和「唯はあなたのことが本当に好きよ。何年も幼馴染してるこのわたしが言うんだから間違いないわ!」 梓「和先輩…でも、あんなこと言っちゃって、もう唯先輩にあわす顔が…」 和「だから大丈夫だってば。唯もきっと許してくれる」 梓「……」 和「だからきちんと謝ってきなさい!」 梓「…はい!」 和「よし!行ってきなさい!」バチン 梓「あうっ!今日はありがとうございました!では行ってきます!」タタタ 和「ふう…世話が焼けるんだから…」 …… 律「なあ、唯。昨日はその…」 唯「……」ボー 澪(おい律!あんまり深追いするな!) 律(だ、だって!気になるじゃんかよ~) 紬(ふふふ…きっと梓ちゃんのことが待ちきれないのね!) 唯(昨日はやっちゃったなあ。もうあずにゃんとはあわせる顔が…) 3
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最近唯先輩と会っていない。 といっても喧嘩した、とかそういうマイナス的原因ではないんです。 私と会うと唯先輩はどうしてもギターを弾きたくなっちゃうみたいで。 それだけだと問題はないんですけど、どうやら唯先輩は一つのことに集中すると別のことが疎かになっちゃうらしくて。 受験が迫ってきたこの時期にそれはどうかということで澪先輩が提言してきたのが私とあまり顔を合わさないという案。 つまりギターを連想させる私を見なければ唯先輩も容易にギターを手にせず、故に勉強したことをあまり忘れないのでは、ということらしいのです。 正直そんなことで、と思わなかったといえばウソになりますけど物は試しということで数日間この案を実施してみることになった。 私は唯先輩のためなら、とこの案を受け入れた。 以上が唯先輩と最近会っていない理由です。 唯先輩は『そんなー、あずにゃん分が足りなくなるー』と嘆いてましたけど。 しかし、実際に会わなくなると何となく寂しい。 同じ学校なんだから会おうと思えばいつでも会えるんだけど、そこは唯先輩や他の先輩との女の約束。 せっかく唯先輩が頑張って約束を守っているのに私から破るなんてできません。 ……とかいいながら三年生の教室に向かってる私ってどうなんだろう? そう、これは律先輩に聞きたいことがあるから行くんです。 それは、えーと……部長の心得とか? ほら、このままいけば来年は私が軽音部の部長になるはずですから。 そこに唯先輩がたまたまいたら、挨拶ついでに『頑張ってください』くらい声をかけてもバチは当たらないはずです。 「こんにちは」 「お、どうした梓。珍しいな、三年の教室に来るなんて」 私の挨拶に答えてくれた律先輩もそこそこに、視線はやっぱり唯先輩を探してしまう。 そこには傍らに和先輩を伴って勉強に励んでいる唯先輩の姿があった。 「ん?」 自分へと視線を送ってこない私に違和感を覚えた律先輩は、私が見つめている背後に目をやった。 「ああ、唯か。凄いだろ、あの集中力。最近かなり勉強してるみたいだからな。で、梓。今日は何の用で来たんだ?」 「え、あ、あの、最近みなさんと会う機会が少なくなったので、この教室の前を通るついでと言ってはなんですが挨拶しとこうかなと思いまして」 ここで建前を言っても仕方ないと思った私は正直にここに来た理由を告げる。 ……まあ、全部正直に言うのも恥ずかしいですから、少しばかり脚色させてもらいましたけど。 「んー、確かに最近音楽室に全員集合ってのも少なくなったからなあ。なるほど梓も私たちに会えず寂しかったんだねえ」 律先輩は小さい子供をあやすように私の頭を撫でてきた。 「や、やめてください」 私は恥ずかしさから律先輩の手を払いのける。外見的には拒否反応を示したけど、内心少し嬉しかった。 「へへ。じゃあ、唯たちにも挨拶しとくか?」 「いえ、せっかく集中してるのに邪魔しちゃ悪いです」 「そうか、じゃあ私たちももう少し音楽室にも顔出すようにするから。しばらくは一人の時間が多くて寂しいだろうけど部活頑張れよ。 私たちに桜咲いたら、今まで一人にしてた分をチャラにするくらい一緒に練習してやるから」 「わかりました。律先輩も頑張ってください」 深々と頭を下げ、三年生の教室を後にする。律先輩の優しさと唯先輩の頑張る姿を思い返しながら。 その日の夜、私はベッドに寝転がり一人呟いていた。 「声ぐらいかけてもバチ当たらなかったかなあ」 一つ欲望が満たされたら違う欲望が生まれるのが人間だってどっかの誰かが言ってた気がする。 今の私はまさにそれ。 会えない時間が長かっただけ、あの時は姿を見られただけで満足だった。 だけどその姿を見てしまった今、それ以上のことを望んでいる自分がいた。 「ああ、もう。ウジウジしたってしょうがないじゃない、中野梓」 自分に言い聞かせるように――実際言い聞かせてるんだけど――私は声をあげ、体を起こす。 「メールくらいなら大丈夫だよね?」 これまた自分自身を納得させるため声に出しながら、私は携帯を手に取る。 「あんまり長いと迷惑だろうから、手短なのがいいよね」 文章を打ち込み、いざ送信というところまできて、再び私は思案する。 「やっぱ勉強の邪魔になるかなあ?」 あと一回ボタンを押せば送信という状態の画面を見つめながら私はしばらく考えをめぐらせた。 「うん、きっといい息抜きになるはずだよ」 決断のための独り言と共に私は指に力を入れる。 画面に写し出される送信完了の文字を見て、私はふうと溜息をついた。 「今日はホント、独り言が多いなあ」 ここ数分の言動を自嘲しながら私は仰向けに倒れこみ天井を眺める。 緊張感から解放された私はそのままゆっくり意識を闇に落としてしまった。 「……ん? 私寝ちゃってた?」 ぼんやりとする目をこすりながらベッドから起き上がろうとする。 そのとき指に触れた携帯電話。それが一気に私の意識を覚醒させた。 「そうだ、メール!」 急いでメールを確認する。唯先輩からの返信メールがあるかもしれないからだ。 寝てしまったとはいえ、もし唯先輩からのメールが届いていたら結果的に無視した形になってしまう。 さすがにそんなことで怒る人は少ないだろうし、唯先輩もそんな人ではないけど、私から送った手前、その状況は避けたかった。 「……まだ来てないか」 恐れていたことは起きていなかったという安堵と共に別の感情も湧き上がってくる。 「勉強も忙しいし、返事がなくても仕方ないよね。きっと読んではくれてるだろうし」 これも自分を納得させるための独り言。一体今日何回目だろう。 「寝よ」 枕元に携帯を投げ、つけっぱなしにしていた電気を消してベッドへうつ伏せに倒れこむ。 そのとき、 「……っ!」 携帯が着信を知らせてきた。 頭のすぐ近くで鳴っている携帯を手に取り画面を確かめる。 『新着メールあり』 その文字を確認した私は急いでメールを開く。 『あずにゃんメールありがと。 ケータイマナーモードにしたままだったから気づかなかったんだ。ごめんね、返信遅れちゃって。 あと、もしこのメールで寝てるとこ起こしちゃったなら、それもごめんね。 やっぱ勉強って大変だね。和ちゃんや澪ちゃんみたいに真面目にやっとけばよかったなあって思ってるよ。 あずにゃんは私みたいな苦労しないようにちゃんと勉強しなきゃダメだからね。先輩からの忠告だよ。 それじゃ寝てるかもしれないけどおやすみ、あずにゃん。 PS.あずにゃん分不足気味だよう。もうすぐでお試し期間も終わるから、その時にたくさん補給させてね。』 「フフ、唯先輩らしいなあ、マナーモードにしてて気づかないのも、最後の一文も」 返信がなかった理由がわかり心のモヤモヤはすっかりどこかに吹き飛んでいた。 「起きてたから大丈夫ってのとおやすみなさいって送っとこ」 数十分前はあんなに送るべきかどうか悩んでいたメール。 「……送信、っと」 二回目は簡単に送ることができた。 「よし、寝よう」 この日の私は数分前の状況からは想像できないくらい、温かな気持ちで眠りにつけた。 数日後、お試し期間終了の日。 「あずにゃーん」 音楽室の扉を開けるなり他の先輩を置き去りにして唯先輩は私に飛びついてきた。 「ちょ、唯先輩。苦しいですよ」 いつも以上に力を込めて抱きしめてくる唯先輩。 少し苦しかったけど、唯先輩の柔らかな感触がとても心地良く、懐かしかった。 「会いたかったよう。あずにゃんは寂しくなかった?」 「べ、別に寂しくなんかなかったです」 「私は寂しかったよう。それじゃああずにゃん、久しぶりに一緒に練習しよう」 「私はいいですけど、勉強しなくていいんですか?」 「大丈夫!」 「一体どこからその自信が出てくるんですか?」 私は確認の意を込めて他の先輩に視線を送った。 「まあ、唯もこの期間中頑張ってたし、息抜きも必要だろ。私たちも久しぶりに合わせたいし」 「久々に全員集まってるしな」 「それじゃお茶したら練習しましょ」 意気揚々とティータイムを待つ唯先輩に澪先輩は冗談めかして注意した。 「練習するのもいいけど、せっかく勉強したことを忘れないでくれよ。また忘れるようなら、もう一回梓とは会わない期間を設けないとな」 「えっ、そんな」 澪先輩の言葉に真っ先に反応したのは唯先輩、ではなかった。 「あずにゃん?」 「え?」 「お?」 「あらあら」 「あ……。えっと……」 そこには唯先輩より先に声をあげてしまい、先輩たちの視線を一身に受ける私がいた。 おわり 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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※地霊殿ネタバレアリ注意 ※下ネタ注意 ※ 過去作の設定流用してます 「「ゆっくりしていってね!」」 「・・・・・・・・・・・・・」 僕、森近 霖之助は少し困っている。 仕事の合間に少し外に出ていて、店の中に返ってみたら得体の知れない生き物が二匹いる。 得体の知れないって言うのは少し語弊があるかもしれない。 なぜならその二匹は僕の知人の博麗霊夢と霧雨魔理沙と似た特徴を持っていた。 幻想郷の少女達の特徴を持つこの子達は『ゆっくり』と呼ばれている。 「ゆっくりしていってね!」という言葉を投げかけてくる生きた饅頭だ。 目の前の二匹はゆっくりれいむとゆっくりまりさの一組だ。 「君達はここで何をしているのかな?」 「「ゆっくりしてるよ!」」 「ここは僕の店なんだけどね・・・」 「「おにいさん!ゆっくりしていってね!」」 「いや、だから・・・・・・」 「「ゆっくりしていってね!」」 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 どうするべきかと少し悩む。つまみ出すか、ほうっておくか。 今のところこの子達はここにいるだけで特に問題は起こしていない。 まぁ、本人に比べればましか。特に魔理沙ときたら人の店から持っていくだけ持っていって、 御代はいまだに払っていない。たぶん彼女は死ぬまで払わないだろう。 それに比べたらゆっくり達はその辺りに転がっているだけ。無害にも等しい。 ちょっとした置物のようにしていればいいか。 勝手に人の家に入ってきた訳のわからない生き物をつまみ出さないあたり我ながら甘い。 だから魔理沙に付け込まれるんだろうな。 「君達に少し言っておくよ」 「「ゆ?」」 「お店が終わるまではここにいていいけど、時間になったら帰るんだよ。」 「「ゆっくりできるね!」」 ゆっくり達は僕に眩いばかりの笑顔でお礼を言ってくる。 「「ゆっくりさせてくれてありがとう!」」 あぁ、彼女達がこの二匹くらい素直だったら僕の苦労も減るんだろうなぁ。 なんでモデルの方が問題のある正確をしているのだろう。 でも、一応釘はさす。そこはしっかりとしないといけない。 「あくまでもこの場を貸すだけだからね。邪魔をしたり、店のものを持って行ったら放り出すよ。」 「「ゆっ!」」 良い返事だなぁ。これも彼女達が絶対にすることがないことだ。 結局ゆっくり達は僕の店の中でじっとしているか、たまに訳のわからないことを口走るだけで、 店の中はいつもと変わらない。ただ、今日はお客さんが全く来ない。 まるでゆっくりという奇妙なお客さんが来たこととバランスをとるかのように、何も起こらない。 持ち込んだ本を読破してしまった僕は少し暇になってしまった。 ゆっくり達は相変わらず床の上に転がっている。 「ゆっ!」 かと思ったら、二匹がいきなり飛び跳ねると、僕の方を向いてきた。 ただ事ではない雰囲気、一体どうしたというのだろう? 「「ゆっくりできたからおれいするよ!」」 ゆっくり達はぴょこぴょこと近づいてくる。 「「おにいさん!」」 「どうしたんだい?」 「「おさらある?」」 「お皿ねぇ、ちょっと今はないかな。何でお皿が必要なのかな?」 「「おれいするよ!」」 お礼といわれても、この店の中にお皿や食器はない。 売り物のお皿やお椀は先日魔理沙が持っていったからだ。 この間の地震で食器が全部壊れたからだと去り際に言っていた。 僕自身の分はどうかと言うと、今日はお昼を外で食べてきたからない。 「ごめん、今切らしているんだ。」 「「ゆっくりできないね!」」 ゆっくり達は目を伏せて寂しそうな顔をした。 何故か悪いことをしてしまった気になってしまい、ちょっと心が痛む。 お皿があったら何をする気だったんだろう? そう聞こうとすると 「「ゆっ!ゆっ!」」 いきなりゆっくり達二匹がはっとした顔になって、ほほをくっつけあった。 「「す~りす~り、ゆっくりのほっぺたきもちいいね~♪」」 一体どうしたのだろう?僕がいぶかしんでいると、いきなりゆっくり達は僕に向かって話しかけてきた。 「「おにいさん!」」 「ど、どうしたんだい?」 「「れいむとまりさのあいだにはさまっていいよ」」 「!?」 「「ゆっくりさせてくれたおれいだよ!」」 ああ、なるほどね。ゆっくり達なりのお礼ってことか。 人間で言うところの握手や抱擁に当たるのかもしれない。 そういえばゆっくりの頬って柔らかそうだな。ゆっくり達は饅頭でできているって言われているけど、 目の前の二匹の頬はぽよぽよと弾力があり、お互いの頬に当たるたびに餅のように形を変えている。 「ちょっと失礼・・・・」 ゆっくりれいむの頬を少しつまんでみる。 「うわ・・・・・・これは・・・・・・」 柔らかい・・・・・。しかもただ柔らかいだけじゃない・・・・。柔らかさの中に程よい弾力があり、 ほんのりと温かい。擦るように撫でてみるとそのすべすべと滑らかな手触りに驚く。 子供の頬の感触ってこんなものだったような気がする・・・。 人間からしてみても自分の頬を見ず知らずの相手に無防備にさらすことはない。 なるほど、この子達なりの信頼の証って言うことか。 「「さぁ、どうぞ!」」 「じゃあ、お言葉に甘えて」 柔らかそうで気持ちよさそうだな。そういえば魔理沙も子供の頃は素直で可愛かったな。 ああ、子供のままでいてくれたらどれだけよかったか・・・・。 よし、せっかくだからたっぷり挟んで気持ちよくさせてもらうとしようかな。 「お邪魔します・・・・・・え?」 「・・・・・・・・・・・・・・あ」 いきなりお客さんがやってきた。はじめて見る顔の子だ。 僕は二匹の頭をそれぞれ掴んで固まっていた。 それだけなのに彼女は顔を真っ青にして、怯えるように後ずさりしている。 唐突過ぎる。 「あの・・・・・挟むって・・・・・・・柔らかそうで気持ちよさそうだって・・・・・・・ 子供のままが一番いいって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「どうかしたのかい?」 僕の言葉が聞こえていないかのように、僕の姿が見えないかのようにぶつぶつと何かつぶやいている。 何かおかしいことをしたかな?僕はただこの子達からお礼をもらおうとしていただけなのに。 「お礼ですって・・・・・・・・。お礼と評して何も知らないこの子達になんてことを・・・・・・」 なんで目の前の女の子はゆっくり達からお礼をもらうってことがわかったんだろう。 そういえばはじめてみる顔の子だな。 そういえばこの子の着ている服って似たものが前に外の世界から流れて来たことがある。 あれだ、幼稚園児だっけ?外の世界で幼い子供が服に似ているな。 この子もちょっと子供っぽくって可愛いな。 「ひっ!今度は私まで!」 「?」 もう彼女は僕の方を見ていない。ゆっくり立ちの方に尋ねるような目を向けている。 ゆっくり達に一体何をする気だったのかと、目で訴えていた。 それを察したのか、ゆっくり達は目の前の少女に答える。 「「おにいさんのだいじなところをはさむよ!!」」 それが引き金だった。 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!! 獣姦魔ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 「ちょっと待ちなさい!いったいどうしたんだい!」 何事かと思って僕は少女に近づいて手を伸ばす、けれども少女は脱兎の如く逃げ出す。 「やっぱり地上怖いぃ!おうちかえるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」 そしてあっという間に僕から離れると、遠くに飛んでいってしまった。 「待って・・・・・・行っちゃった。」 一体どうしたんだろう。何か悪いことをしたのかな? 「「ゆっくりしていってね!」」 「ゆっくりしていってね!」 そう思っていると、また新しい客が来た。ゆっくり達が歓迎しているようだ。 客は博麗神社の巫女博麗霊夢、彼女と一緒に暮らしているゆっくりれいむ、天狗の新聞記者の射命丸文だ。 霊夢は僕の事を刺すような目で睨んでいる。隣の射命丸はうきうきとした顔で僕の事を見ている。 一見相反しているが、二人に共通しているのは僕から距離を置いているということだ。 そんな二人を霊夢に抱えられているゆっくりれいむはきょとんとした顔でみている。 「霖之助さんがまさかそんな人だったなんて・・・・」 「「はい、清く正しい射命丸です。店主も人に言えない趣味を持っていたのですねぇ。」 二人の言っていることがわからない。一体何が? 得体の知れない焦燥感に襲われていると、射命丸が事情を説明してきた。 「地下にあるといわれる地霊殿。その主に異変を起こされたお詫びとして、 私達の知人が普段何を考えているのか調べていただいているのです。良いネタができそうですし。」 「私は反対したんだけどね。けど、今になってよかったって思うわ。霖之助さんがそんな人だってわかったから。」 霊夢の抱えているゆっくりれいむが霊夢のただごとではない雰囲気を察して霊夢に尋ねる。 「れ~む、どうしたの?おに~さんといっしょにゆっくりしないの?」 霊夢はぴしゃりとゆっくり霊夢に声をかける。 「れいむ、よく聞きなさい。あのお兄さんはゆっくりできない人よ。絶対に近づいちゃ駄目。」 まるで幼女に対して変質者から離れろといっているような様子だ。 冷や汗がたらりと垂れる。 何か取り返しの付かないことをしてしまった気がする。 じ、事情を聞かないと・・・。 「・・・・・・・・・な・・・・・・・・・何を言っているんだい?」 声が裏返ってしまった。情けない。だけど声が出るだけましだったのかもしれない。 射命丸が説明された後、僕は文字通り声を失った。 「彼女、古明地さとりはあらゆる生き物の心を読めます。」 「!?」 霊夢が続く。 「つまり、霖之助さんの歪んだ欲望に耐えられなくなって彼女は逃げ出したのよ。彼女って動物がすごく好きみたいなの。 そんな動物に対して卑猥な考えを持った人には近づきたくもないでしょうね。」 心が読める 心が読める こころがよめる ぼくってかのじょにあったときなにをかんがえていたっけ? そうだ、ゆっくりたちにはさんでもらいたいっておもってたんだ こどもってかわいいなっておもってたんだ やべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!! つまり彼女に何を挟むのかを誤解されたってことだ! 思わず何を挟むのかまで考えずに掴んでいた。殆ど本能のようなものだ。 僕はただゆっくり立ちの間に自分の頬をはさんでもらおうとしていただけなのに、 彼女はちょっとしたら別のとんでもないところをはさんでもらおうとしているように 誤解したのかもしれない! すぐに誤解を解かないとゆっくりに欲情した男として社会的に抹殺されてしまう! 「ちょっとまて!違う!誤解だ!僕はただ」 「言い訳なんて聞きたくないわ。」 「すいませんねぇ、新聞記者をやっている分人の二面性には慣れているとはいえ、まさかここまでとは思わなかったです。」 霊夢の圧倒的な迫力の前に言葉を失う。 射命丸が続く。その手にはメモ。一心不乱に何かを書いている。 「私は人の趣味にとやかく言うつもりはないけど、二度と私に近づかないで。私はもう絶対にここには来ないから。 あと、もしうちの子に手を出したら殺すわよ。」 霊夢からの死刑宣告。射命丸が追い討ちをかける。死んだ後に地獄に叩き落すように。 「良いネタをありがとうございました。お礼に私の新聞には先ほどのやりとりを一語一句正確に載せますね。 途中で私の主観も入りますが、できる限り面白くなるようにします。」 「僕の話を聞いてくれ!話せばわかる!話せば」 「変態と話すことなんて何もないわ。さよなら。」「ゆっ!」 「心配要りません!誰もが見るような素晴らしい新聞にします!それでは別件が入っているので失礼します!」 霊夢はゆっくりれいむをかかえて逃げるように、射命丸は次のネタを求めて僕の言葉を聴かずに去っていった。 後に残ったのは二匹のゆっくりのみ。 でも、二匹は帰り支度をしているみたいだ。 ぺこりとおじぎをするように体を傾けると、僕の店を後にする。 「「ゆっくりさせてくれてありがとう!」」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 そして誰もいなくなった店で一人たたずむ。 ・・・・・・・・・・・・・もうやだ、ぼくもおうちかえる。 6スレ …ッッ!!(青年笑い堪え中…) 写命丸に弁明文の手紙出せば…って無駄か? さとりに本心見て貰えb…絶対に会いたくないって断られる罠( ∀`;) どう考えてももう香林はゆっくり出来そうにないのがヒドすぐるww -- 名無しさん (2008-12-09 15 09 17) 悪魔やッ!このゆっくり達は可愛い顔した悪魔やぁ! -- 名無しさん (2010-10-08 21 36 27) こーりん・・・悲劇や・・・ -- 名無しさん (2010-11-25 17 34 29) こーりん虐めスレww -- ちぇんと(ry 飼いたい (2012-03-29 20 11 42) wwwwwwww -- 愛で好きの人 (2012-12-06 16 22 59) 名前 コメント
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ーー校門前 御崎「じゃ、私らはこれで帰りますわ。 よければ覚えていてくれや、与作っちゅう、阿呆が居たってことをよ……」 律「正直濃すぎて忘れられない気が」 御崎「なんか言ったか田井中ァ!」 律「ナンデモナイッス」 唯「行っちゃうのクズリちゃん……」 鵺「ヒョー……」 クズリ「うん、ごめんね唯。 でも、また会えるよ。 一生のお別れじゃないもん」 和「そうね。 輝さん、またお世話になるかもしれません」 輝「もう妖怪退治の出張なんて嫌だからね?」 御崎「ところがどっこい! そうは行かないかも知れないんだなこれが!」 輝「うわっ、なによ経島、どういう意味?」 御崎「いやー、初めての妖怪にしては中々に大物が出て来たっしょ? それも二人も」 ツグミ「オイラ?」 鵺「ヒョー?」 御崎「そうそう。 ただださえ出易い学校なんてスポットにそんな大物がポッと出てみなさいよ、そりゃ彼岸への道も広がるっしょ」 クズリ「あー……」 澪「……つまり、この学校は」 御崎「妖怪、大戦争だァァ! になるかも知れないってこと。 実際ウチはすごい数の妖怪が出てるしね。 まあそんな訳だから、いずれ来ることになろう。 つまりまたすぐ会えるさって話」 澪「」バタッ 紬「ああっ、澪ちゃんが」 輝「それで、ツグミちゃんはどうするの?」 御崎「私としてはこのまま桜校に入っちゃえばと思うけどね」 ツグミ「うーん、でもオイラ妖怪だし」 クズリ「関係ないよ。 私もそうだし」 御崎「まあ転入に関しては和ちゃんに一任しましょうか。 そんじゃま、宜しく頼むよ和クン!」 和「……ええ、分かりました」 ツグミ「大丈夫かな和、迷惑じゃない?」 和「いいのよ、ツグミに桜校に入って欲しいもの」 ツグミ「う、うん、ありがと……!」 紬(もしかして和ちゃん、気づいてないのかしら?)- 御崎「じゃあそろそろお開きということで、軽音部諸君に生徒会一名、また会おう!」 真一「結局先輩はどういうキャラなんですか。 えっと、お世話になりました」 クズリ「みんな、またね!」 輝「また来ることになると思けど、じゃあ、またね」 和「はい、みなさんありがとうございました」 唯「じゃーねー、バイバーイ」 律「またなー!」 澪「」 紬「澪ちゃん起きて!」 梓「お世話になりましたー!」 和「……じゃあ、帰りましょうか」 唯「そーだねー。 って、あー、荷物部室だ……」 律「うへぇ、また階段登るのか」 梓「もう、それくらい我慢してください」 唯律「ええー」 澪「っは、ダメだ、また寝てた」 紬「おはよう澪ちゃん」 ツグミ「あ、オイラ家無い」 唯「じゃあウチに住むかい?」キリッ 律「なんでそんなに自慢気な表情なんだよ」 ツグミ「いいの?」 唯「いいに決まってるよー。 だって憂の料理は美味しいから!」フンス 梓「だからなんで唯先輩が得意げなんですか」 澪「理由にもなってないしな」 唯「えー、本当の事なのにー」 紬「別に憂ちゃんの料理の腕を疑ってはいないわよ?」 ツグミ「でも悪いんじゃ……」 唯「いいのいいの!」 和「本当に、平和ねー」 ーー翌日 梓と純 梓(純にどんな顔をして会えばいいんだろう。 謝る? いやいや、いきなり謝られても純も迷惑だろうしなにより覚えてなかったら、聞き返されて誤魔化しきれなかったらマズい……。 頼りになりそうなムギ先輩はバッチ来いって感じがするし、和先輩もツグミがいるから一概には言えない。 一体どうs) 純「あ、梓おはよー」 梓「ふぇっ!? あ、あああ純オハヨウ今日もいい天気だねアハハ……」 純「え、うん。 そうだね」 梓「そそそそそそれで何か用があったのかななんて思ったりなんかして!」 純「んー? 見かけたから声掛けただけだけど。 ……なんか今日の梓ちょっと変じゃない?」 梓「そんなことないと思うけど」 純「そう? あ、そういえば梓さ、」 梓「なに?」 純「今日は名前で読んでくれたね」ニコ 梓「はッ、……あ」 純「昨日の今日だから無視されると思ったんだけどねー」 梓(わ、忘れてなかった!? ていうかあんな事があったのに何で普通に声掛けてくるの!?)ウガー 純「梓ー、大丈夫? なんかオーバーヒートしてるみたいになってるけど」 梓(純は昨日の事をどうとも思ってないの!? こっちは、ファ、ファーストキスだったかも知れないのに!?) 純「梓?」 梓「じ、純!」 純「うわっ、急に顔あげないでよ」 梓「あ、ごめん」 純「いや、べつにいいけど。 で、なに?」 梓「えーっと、そう、純には責任をとってもらいます!」 純「責任って、昨日の?」 梓「そうです!」 純「えー。 確かに悪かったかなーって思ってるけどさ、私の本意じゃなかったっていうか、冷静になってみると恥ずかしいっていうか」 梓「い、言い訳しないっ!」 純「え、えー……」 梓「じ、じじじ純はこれから毎日私に顔を見せること! ぜ、絶対に」 純「……は?」 梓「純が行っちゃったあと、凄く心配だったんだから」 純「え、うん。 ……ごめん」 梓「……」 純「……」 梓「……私は優しいから、許してあげます」 純「……それは、どうも」 梓「……」 純「……」 梓「……」 純「って、なんで私が謝ってるんだぁぁー!?」ダッ 梓「あ、純!? どこ行くの!?」 純「学校ぉぉぉぉぉぉー!」ピュー 和とツグミたち 純「うわあああああああ!」- 和「……今のって、鈴木さんよね」 唯「朝早くからランニングかなー? 元気なことだねぇ」 憂「ほらおばあちゃん、出歩いたら危ないですから、お布団に戻りましょう?」 唯「あー、いぃつも済まないねぇ」 憂「それは言わない約束でしょう?」 唯「そうだったっけねぇ」 和「……なにやってるの?」 唯「介護が必要なおばあちゃんとヘルパーさんごっこ」 和「悪いことは言わないから、もうやめておきなさい」 唯「えー」ブー ツグミ「和たちはいつも賑やかだね」フフ 唯「ふふふー、ツグミちゃんも今日からその一員なのだよ。 私たちのノリに、ついて来れるかなー?」 ツグミ「お、おー……?」 和「そんなに真剣にならなくても、軽い気持ちでいればいいのよ」 ツグミ「そう、かな……?」 和「そうよ」 ツグミ「そ、っか……」 憂「和さんとツグミちゃん、仲いいね」 和「そうかしら?」 ツグミ「そ、そうかな?」 憂「そうだよー。 ツグミちゃんは和さんを信頼してるって感じだし、和さんもツグミちゃんを大切に思ってるって伝わってくるもん」 ツグミ「お、オイラを、大切……? 和が……? あ、あわわ……」 和「……信頼されてるなら悪い気はしないわね」 ツグミ「ホント!?」 和「ええ。 そんな食い気味で来なくても大丈夫よ」 ツグミ「///」 唯「むー、和ちゃんの独り占めは良くないです!」 ツグミ「え、オイラ?」 唯「そうだよ! 和ちゃんはみんなのものなんだから」フンス 和「だからなんで唯が得意気な顔なのよ」 ツグミ「独り占めなんてそんなでももし独り占めできるならそれはそれでいや唯たちにも悪いし第一和の意見も聞いてないのに決めつけちゃうのは良くないよねでももし和がいいって言ったら……///」ブツブツ 和「どうしたのツグミ?」 ツグミ「ひょっ!?」ドキッ 7
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唯「このお菓子、おかしーし! どう? 私のダジャレ?」 澪「いや、どうって言われても……」 律「下手なシャレはやめなしゃれ」 唯「おお! 上手いねりっちゃん」 律「……ダジャレを褒められるのってなんか恥ずかしいな。ていうか、何で急にダジャレなんて言い出したんだ?」 唯「いやー、実は昨日読んだ本にさ……うっ」ズキンッ! 唯「あ、あれ?」 梓「どうしたんですか? 唯先輩」 唯「う、うう……い……痛い」ガタッ 紬「どうしたの? 大丈夫? 唯ちゃん!」 唯「う……あ……」 澪「ゆ、唯!」 律「誰か、えっと、梓! 先生よんでこい!」 梓「は、はい!」ダッ 1月14日 平沢唯は少々不機嫌だった。急に心臓が痛くなって倒れた後、気がついたときには鼻に妙な形のチューブが付けられていた。 確か、カニューレとかいった名前だったはずだ。看護師さんがそう呼んでいるのを聞いた気がする。 鼻がかゆい、チューブのせいだ。腕もかゆい、点滴のせいだ。頭が重い、病室独特の雰囲気のせいだ。 今日の昼には、両親と憂がお見舞いに来てくれることになっている。そのときに自分の病気についても説明されるはずだ。 まあ、自分は健康優良なので、それほど重い病気ではないはずだ。大丈夫、大丈夫。 「大丈夫……だよね……」 1月19日 平沢唯が突然倒れて病院に搬送されてから数日がたった。 ガヤガヤとうるさい休み時間の教室で、律と紬は間に机を一つはさんで向かい合って座っている。 「なあムギ、唯の病気って、やっぱり重い病気なのか? 病名を聞いても私にはさっぱりなんだけど……」 律のいつもの元気の良さはなりを潜めている。表情もどこか暗い。 「……軽くはない、いえ、そうね……重い病気だわ。心臓病だもの」 「重いって……でも、あれだろ? 手術すれば治るんだろ?」 焦燥感が押し寄せる。律は背中に氷の塊でも突っ込まれた様に、ぞくりとした。急に酸素が薄くなったみたいに呼吸がしづらい。 「治るわ。治るに決まってる」紬は自分に言い聞かせるかのように呟いた。 「だ、だよな。あー、良かった。うん、唯は治るに決まってる! 大丈夫だ!」 「ええ、そうよ。治るのよ。そう決まってるんだもの」 紬の瞳には、妙な迫力があった。その瞳をみて、律は不思議と安心している自分に気づいた。 1月24日 「ねえ、憂」唯はベッドに寝転んだままの態勢で、妹に話しかけた。 「なあに? お姉ちゃん」 「私、死ぬのかな?」 「……そんなこと言っちゃダメだよ。大丈夫、治るよ」 憂の言葉には何の保証もない。医者による自分の病気についての説明は正直言って半分も理解できなかったが、 それでも難病であることはかろうじてわかった。どうやら心臓移植が必要であるらしいことも。 「ドナーが見つかって、心臓移植を受けられれば、また学校にも通えるようになるよ」 憂は必死に励まそうとしてくれているが、日本で心臓移植を受けるのが難しいことなんて日本人なら誰でも知ってる常識だ。 ならば海外に行けばいいのかと言えばそういうわけでもない。心臓移植を待っている患者に対して、ドナーが圧倒的に少ないのだ。 自分が死ぬ前にドナーが現れる可能性なんて、1%にも満たないはずだ。 「憂、ごめん……一人にしてくれるかな」 「お姉ちゃん……私、漫画買ってくるね。お姉ちゃんの好きなやつ!」 マンガなんて読んでも気分が晴れる気はしなかったが、憂の気遣いがうれしかった。 2月5日 ギターを弾きたいと、唯は入院生活が始まってから節に思うようになった。 好きな時にギターを弾ける日常というのは、存外素敵で、大切なものだったようだ。 お菓子が食べたい、特にムギちゃんが用意してくれるおいしいケーキ。自分たちのバンド名の由来にもなった 放課後のティータイムは唯にとって最上のひと時だったようだ。 もっと生きたい、死にたくない。病院にいると、死がとても身近なもののように感じるのだ。死にたくない。もっと生きたい、もっともっと生きたい。 人はいつか死ぬからこそ、生きたいと思うんだ。それが、わかった気がした。まるで悟りの境地に達した気分だ。 普通で退屈で変わり映えがなくて、だけど素敵で刺激的で楽しい、そんな日々にもっと感謝しておけば良かった。感謝しなければならなかった。 「ギー太、どうしてるかな?」 今日の夕方、軽音部のみんながお見舞いに来てくれることになっている。その時にギー太を持ってきてもらうことにしよう。 「病院では、ギター弾いちゃダメだろうけどね」 2月10日 「ねえ……お母さん」 唯はベッド脇の丸椅子に座っている母親に話しかけた。 「なに? 唯」母は自分の手を唯の手に重ねながら、優しい声音で答える。 「私、ちゃんと死ねるのかな? ほら、死ぬのなんて初めてだし」 「……唯、冗談でもそんなこと言わないでちょうだい」 「あはは、病人専用ギャグだよ」唯は目を細めながら、母の顔を眺めた。 唯の笑い声は乾ききっていて、生気が感じられない。その顔に無理やり浮かべられた笑顔をみて、 唯の母は心を締めつけられたような感覚をおぼえた。 「……唯、病気が治ったらどこかにでかけましょう? お父さんと憂と、それに和ちゃんと、軽音部のお友達も連れて」 「どこかって、どこ?」 「どこでもいいわよ? 唯の好きなところ」 「……良いなあ、行きたいなあ……」 本当に行けるだろうか、本当に私の病気は治るだろうか。 どこか頼りなく鼓動のリズムを刻む自分の心臓を信じることは、唯にはできそうになかった。 2月15日 唯は音楽室で、ギー太を肩に下げて立っていた、傍らには軽音部の面々も一緒だ。 紬がいつも入れてくれる紅茶の葉の香りがかすかに漂っていて、唯はなんだか気分が落ち着くのを感じた。 久しぶりにギー太の弦を弾いてみると、妙に懐かしい気分になった。 「ほんの一カ月弾かなかっただけなのにね。ひさしぶり、ギー太!」 もっと弾きたい、もっと練習しよう。そうだ、ムギちゃんの紅茶が飲みたい、ケーキも。 「ねえ、ムギちゃん、今日のケーキはなに?」 「唯ちゃん、唯ちゃんは、まだケーキ食べちゃダメよ」 「え? どうして?」 ――――だって、唯ちゃんは―――― 唯はそこで目が覚めた。どうやら楽しい夢を見ていただけのようだ。 目頭が熱くなり涙が出そうになったが、必死でこらえた。今日もみんながお見舞いに来てくれるはずだ、 泣き腫らした目を見せて心配させるわけにはいかなかった。 「……儚いものだね、人生なんて……」 人生は儚い。けれど、儚いからこそキラキラと光り輝いて見えるのかもしれない。 そう、まるで、カゲロウのように。 2月16日 夜、琴吹家の自室で、紬は深いため息をついた。そばには執事である斎藤の姿もある。 「それで、結局バチスタ手術はどうなの? 理屈は良いわ。 結論を教えてちょうだい」 普段の穏やかな表情とは違い、紬の眉間には深いシワが寄っている。 「バチスタ手術では、遠隔心不全回避率が低く、術後3年の心不全回避率は25%前後であると報告されています。 しかし、平沢唯様のご病気の治療法はバチスタ手術以外には……心臓移植しか」 「心臓移植……ね」 「はい、しかし、それは……」斎藤は顔を俯かせて口ごもる。 「現実的ではない、と」紬はまるで鷹のような眼で斎藤を射抜く。 「ねえ、斎藤? あるでしょう? ひとつだけ、すぐにでも心臓移植手術を受ける方法が」紬の口調は冷静だが、若干いらだちの色を帯びている。 「お嬢様……それは」 「合法かどうかなんてどうだって良いのよ。大切なのは唯ちゃんが助かるかどうか、ただそれだけ。すぐに手配しなさい、斎藤」 紬が幼いころから傍仕えとして見守り続けてきた斎藤には、今の紬には何を言っても無駄であるということが手に取るようにわかった。 「……かしこまりました。お嬢様のご随意に」そう言ってうなずいた斎藤は、足早に部屋をあとにした。 唯の病気は心臓移植を受けられれば劇的な回復が望める。 しかし、心臓を提供するドナーは世界的に不足しており、特に日本では心臓移植手術を受けるのは絶望的とされている。 ならばどうすればいいのか? 答えは簡単だ。 ――――ドナーを用意すればいい―――― 「待っててね、唯ちゃん。 全ド協なら、すぐにドナーが見つかるわ……」 3月15日 平沢唯はとても上機嫌だった。急転直下、一発逆転、自分に適合するドナーが見つかったのだ。 まさかこんなに早くドナーが見つかるなんて。自分はなんて幸運なのだろうか。 数日前には死にたくない、もっと生きたい、そんなことばかり考えていたというのに。 今は、もっと設備の整った病院に転院するためにストレッチャーに乗せられた状態で車に乗りこんでいるのだが、 付き添いで同乗するお医者さんが中々やってこないので待ちぼうけを食わされている状態だ。ああ、早くお医者さん来ないかな、 などと考えていると、白衣姿で年のころは40くらいの男が車の助手席に乗り込んできた。 「フーッ」男は車に乗り込むと急いでドアを閉めて、大きく安堵の息をついた。 「遅かったですね、待ちくたびれちゃったよ、先生」 「え? せ、せんせい?」男は驚いて少々どもりながら唯の方へと振り向いた。 「先生じゃないの? 白衣着てるのに」 「あ! えっと、そう、先生なんだけどね。うん、僕はお医者先生なんだけど、ちょっと乗る車を間違えちゃったみたいだ」 男はなぜかとても慌てているようだ。気が動転しているのか、必死に手をおたおたと動かすしぐさは、ちょっとコミカルで面白い。 「そっか、じゃあまだまだ私は待ちぼうけだね。主治医の先生が中々こないんですよー。なんかね、トランスターミナルっていう 最新設備の整ったとこに連れてってくれるらしいんですけど……」 「トランスターミナル? 奇遇だね、僕もトランスターミナルに行くんだよ。今から」 「ホントに? トランスターミナルってどんな病院なんですか? 主治医の先生は詳しく教えてくれないんです。最先端の医療が受けられるところだって言われたんですけど……」 唯の質問に男は顎に手を当てて数秒考え込んだ後、あっけらかんと答えた。 「ごめん。僕もよく知らないんだ」 「え? お医者先生なのに?」 「うん、お医者先生なのに」男はスパっと断言する。 「うーむ、変わった先生ですなあ」ストレッチャーに寝ころんだ態勢で、唯は腕を組んでぼやく。 腕を組む時に点滴のチューブが揺れてちょっと痛かった。 「ハハ……あのさ、君、名前は?」 「唯ですよ。平沢唯」 「僕はやす……安田です。よろしく」 「安田先生かあ、下の名前は?」 「……ヤスオです」 「安田ヤスオ?」 語呂合わせのような名前に唯は吹き出しそうになった。語呂のよさが気に入ったのか「やーすだー♪ やーすおー♪」と節をつけて口ずさんでいる。 「平沢さんは、その、どういう病気というか……」 「唯で良いですよ。そのかわり先生のことヤスヤス先生って呼ばせてね」 「や、ヤスヤス先生? えっと、じゃあ唯ちゃんはどこが悪いの?」 「しんぞーです。なんかしんぞーがビヨーンってなる病気なんだって」 「ビヨーン?」 「そう、ビヨーン」唯は両手をゴムを引っ張るように広げた。腕を動かすとまた点滴のチューブが揺れて痛かった。 もう腕を動かすのはやめよう、と少し反省した。 「なんかね、心臓移植の手術を受けなきゃいけないらしいんですよ。で、その手術を受けられるのは、トランスターミナルだけなんだって」 「……へえ、そっか、そうなんだ」ヤスオは何かに納得したように数回うなずいた。 「突然だけど唯ちゃんって血液型は何型?」 「血液型? AB型※ですよ」 「そっか、なるほどなるほど」 何がなるほどなの、ヤスヤス先生――と唯が言いかけた時、ふいにドアが細く開いて、隙間からスーツの男がこわばった顔を覗かせた。 「よかった、こちらにいらしたんですね。さ、行きましょう」 スーツの男に促されたヤスオはシートから降りながら、唯に小さく手を振った。 「じゃあね唯ちゃん。君は頑張るんだよ」 「え? 君はって?」 怪訝そうな表情の唯にニッと微笑みかけると、ヤスオは急いで車から離れた。 ※本来の平沢唯の血液型とは異なります。 3月16日 トランスターミナルに転院した翌日、唯は一人ベッドの上で寝ころんでいた。 「暇だなー。ヒマでヒマでマヒしそう、なんてね」 「駄洒落かヨ、しかもチョット下手くそネ」いつの間にか唯の部屋に居た大男がぼそっと呟いた。 「うおう! びっくりしたー! だ、誰?」 「看護師だヨ、検温の時間ネ」そう言って看護師は体温計を差し出してきた。唯も慣れた手つきでそれを受け取り脇に挟む。 「もう、部屋に入る前に声かけてよね。看護師さん!」 「かけただロ、キミが聞いてなかっただけヨ」この看護師は純粋な日本人では無いようで、言葉に少々変な訛りが付いている。 「ねえ、看護師さん」 「なんだヨ」 「私、助かるのかな?」 「キミのオペは明日だったネ、大丈夫ヨ。ウチの医師は日本でトップクラスだからナ」 看護師は右目を閉じてウィンクしながら、唯を安心させるように言った。 「うん、そうだね。お医者先生を信じないとね!」 そういえば、昨日ちょっとだけ喋ったヤスヤス先生はどうしているだろうか、と少しだけ気になった。 「ねえ看護師さん、安田先生ってどうしてる?」 「ヤスダ先生? ダレダ、ソレは?」 「え? 安田ヤスオ先生だよ、昨日ここに来たと思うんだけど、知らない?」 看護師は考え込むようにこめかみに人差し指をあてている。そして、数秒なやんだ後にこう答えた。 「ああ、ヤスオ。なるほどネ、彼のことかヨ。アノ人は、アレだ、入院してるヨ」 「え! 入院してる? どこか悪いの?」 「ああ、ワルいといえばワルいが……まあ、キミが気にするようなことじゃないヨ。キミは自分の病気治すことだけかんがえろヨ」 「え、でも」 「この話はオワリ。キミはキミのことだけ心配してればイイヨ」 看護師の語調には有無を言わせぬものがあった。唯は気になったがこれ以上聞いてもこの看護師は答えてくれないだろうなと 思い、質問するのはやめておいた。 5月21日 白を基調とした病室で、平沢唯はベッドに座ってマンガを読んでいた。 「うーん、このマンガ飽きちゃったよ。新しいの読みたいなあ」 その時、スライド式の病室のドアがガラリと開いた。 「おーす、唯! 今日もお見舞いに来てやったぞー」 「あ、りっちゃん! おーす!」 現れたのは律だった。後ろには軽音部のほかの面々の顔も見える。 「唯先輩、調子はどうですか? 手術からもう二カ月ほど経ちましたが」 後輩の梓は心配そうに唯の顔を覗き込んだ。しかし、そんな風に心配されるほど体調が悪いわけではないのだ。 「大丈夫だよ! 元気有り余ってるんだもん、それに、もうすぐ退院できるよ!」 唯は鼻息荒く捲くし立てた。元気だということを示すように、座ったまま空手の正拳突きの真似事をしている。 「だめだぞ、唯。安静にしてなきゃ」澪は唯の体を気遣ってひざ下までめくられていた掛け布団をかけなおした。 「元気そうで何よりだわ、唯ちゃん、退院したらまた一緒にケーキ食べましょうね」 「ありがとうムギちゃん! あー早くケーキ食べたいなあ、お医者さんに止められてるんだよー」 「まったく、唯は入院してても相変わらずだな」 澪は呆れ混じりに呟いた。しかしその顔には明らかな微笑みが浮かんでいる。 「この分なら今すぐにでも退院できるんじゃないか?」 「うん、すーぐ退院しちゃうからね! みんな、待っててね」 2
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ある日、私こと東風谷早苗は普段家に居る諏訪子様と神奈子様にやぼ用ということで神社のお留守番を頼まれました。 とは言っても普段からお留守番しているようなものだし、取り分けすることの無い私はただいつもの様に境内の掃除に励んでいただけでした。…そうです! 倉庫に向かい雪掻きを手に取り、軽い調子で辺りの雪を除雪していたら『こいつ』はいきなり現れたのです! 「ゆっくりしていってね!!!」 「…」 除雪もそこそこ済んだし、一休みしようと縁側に歩んだ結果がこれでした。縁側には、何やら奇妙な『れーむはれーむだよ!!!』うっさい! まあ、れーむ? こいつが大胆不敵にのさばっていたというわけです。 そういえば最近里の方から噂で『ゆっくり』と言われる饅頭が現れたと耳に挟んだ記憶があるのですが、こいつですかね…。 『ゆっくりしていってね!』とか叫んでたし、こいつで間違い無いんでしょうね。 パッと見を言葉で表すと、もっちりとしたきめ細かい肌つきに、何を根拠にか全部私に任せなさいと言わんばかりのふてぶてしい表情と態度。しかし体が付いていない! 生首だけでぴょんぴょん動いています、本当に饅頭か? 何よりも髪型がどうみても知り合いの『霊夢』にしか見えない…、そういえばこいつ自身が『れーむはれーむだ』とか言ってたっけ。 まさか、本人!? 「おねーさん、どうしたの? そんなに見つめちゃって…。食べたいの?」 目をトロンとさせ頬を赤らめ、身をよじりながら私に問いかけて来ました。 お前は何を言っているのか? 「ゆうぅん、おねーさん、ツンデレねぇ~」 何をどう解釈したらそんな発想に辿りつくのか今の私には理解しがたいですが、雪が降り積もりべらぼうに寒い中雪掻きを片手に唖然としてばかりも入られないので縁側から家の中へ入ることにしました。 ゆっくり言ってるこいつもぴょんぴょん跳ねながら嬉しそうに私の後を付いてきます。もしかして淋しいのかな? ちょっと意地悪しようと思い、私が障子を開け居間に入ると同時にこいつを入れさせないように障子をピシャリと閉め、こいつを居間前の渡り廊下に放置させます。 障子からはこいつのシルエットがくっきりと写っているのですが、ピクリとも動かなくなったことに気付きました。 いや、左右に小刻みに動いているというか、何かを堪えているような、…まさか!? 「ゆ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ん゛!゛!゛!゛ お゛ね゛ー゛さ゛ん゛か゛い゛し゛め゛る゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛!゛!゛!゛」 しまった、遅かったかと思いつつ大急ぎで障子を開けてこいつの側に寄ります。 「ご、ごめんね! もういじわるしないから! 中に入っていいから! ね!?」 「ゆ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ん゛!゛!゛!゛」 悪い予感だけは何故か当たるもので、私の度が過ぎた意地悪のせいでこいつを泣かせてしまいました…。 泣いているこいつの目からは体内の水分が無くなってカラカラに干からびてしまうのではないかと心配してしまうほど涙が溢れています。そもそも体の造りどうなってるんだ? 「ゆ゛う゛う゛う゛、おねーさん、もういじわるしない?」 「ええ、しないわ。ごめんね、お詫びと言っては何だけど一緒におやつを食べない? 今日のおやつ、楽しみにしてたカスタードプリンなんだ」 まあ巷で饅頭と言われてるくらいだし、甘いものは大丈夫でしょう。 「ゆっ、いいの? よっ、おねーさん太っ腹!」 本来なら誉め言葉なのでしょうが、さっきの泣いている状態とは打ってかわって得意気な表情でぴょんぴょん跳ねてるこいつに言われてムカついたから頭を軽くコツンと叩いてやりました。 今からおやつを取ってくるから居間で待っていてと告げたのですが、こいつは嫌々いって居間にすら入ろうとしません。 やはり、さっきの障子のせいか又いじわるされると思っているのでしょうね、反省します。 もう、仕方ないわねと呟きつつこいつを抱えておやつを取りに行こうとしたその時です。 なんと、こいつが泣いていた場所が大洪水と言わんばかりにびしょ濡れになっているではないですか! 「ゆっくりした結果がこれだよ!!!」 お前は何を言っているのですか! この渡り廊下掃除するの私ですよ、冬だからめっちゃ冷えてるんですよ!? 「これだよ、これが結果だよ…」 かっこよくクールに言っても駄目です! 駄目! 顔をダンディズム溢れる表情にしても駄目! 「ご覧の有り様だよ!!!」 開き直らないでください!! その通りです! ご覧の有り様ですよ!! 嗚呼、嗚呼、なんという…。 私は冬の廊下の冷たさを想像して涙目になりながら、こいつを一旦下ろして雑巾を取りに行くため至急台所に向かおうとしました。 しかし、居間から離れようとするたびにこいつが『た゛め゛ー゛ー゛ー゛ー゛ー゛ー゛ー゛!゛!゛!゛』と叫びつつぴょんぴょん跳ねて通せんぼしてくるので、仕方なくこいつを抱えながら台所まで雑巾を取りに行き、こいつのしでかした尻拭いをするハメになりました。ぬああ、手がしもやける…! どうでもいいですが、少しでも離れると騒がれるからこいつを腋や胸に挟みつつ掃除をすることになったのですが、いやあ。いいですね! 触感が! フニフニと言うかプニプニと言うか、もうこのモチモチ感がたまりませんね! 日頃のクッションに最適! こいつ自身もなんだか眉を強めて誇らしげにして頬を赤らめてるし、満更でも無いみたいです。 あー、世の中の元から胸が大きい人っていつでもこの感触を味わってるのかな…。 …。 「ゆっ? どうしたのおねーさん? なんだか顔がヒョードルを前にしたチェホンマンみたいになってるよ?」 うるさい!!! ☆ それにしてもこいつ、なかなか出来ます 私がこいつを見ている時は食べる素振りを見せないのですが、私が目線を一瞬そらして改めてプリンに注目すると何故か容器に入っているプリンがまるでスプーンで掬ったかのように一口食べられているのです。 あの丸っこい体でどのようにすればあんなに器用に食べられるのでしょうか。 くやしいから腹いせにほっぺをつついてやります。ぷにり。 「ゆっ! お姉さん、くすぐったいよ! 欲情したの?」 するか! …さっきまでこいつのことを『こいつ』だとか『お前』と呼んでいましたが、流石にこのままずっと素っ気ない呼び方をするのはどうかなと考えました。そこで、こいつにあだ名を考えてやる事にしました。 隣から『うめえ! めっちゃうめえ!』と叫びながらどういった理屈で食べているのかわからないけどカスタードプリンを綺麗に…、!? よ、容器にもう既に何も無いだと!? 私の分も! …すぐ側には口周りにカスタードプリンをつけて目を細め光悦の表情で『へヴン状態!!!』と叫んでいるこいつがいました。心なしかプルプル震えていて背後には虹色のオーラが見えます。 「…くぉらあああああああ!!! わ、私、私のプリン! どうしてくれるんですかああああああ!」 「ゆ、ゆ! おねーさん、れ、れーむは知らないよ!」 知らないよとか言いながら口で器用に私が食べるはずだったカップを片付けている時点で故意犯です。 怒りが収まらない私はこいつを抱き締めてふにふにの刑に処してやることにしました。 「ほら、お前が、食べたんですよね、その口に付いてるカスタードプリンは欲張った証拠ですよね!」 ふにふにふにふにふにふにふにふに! 「ゆうっ! ち、ちがうよ! れーむは、あふぅ、何も食べてないよ!」 「まだ言うか! それなら、こうだっ!」 ふにふにふにふにふにゅぷにぷにぷにっ! 「ゆふううう…! わ、悪かったよおねーさん! れーむが悪かったから、許して!」 「…分かればよろしいです」 私はせわしなく動かしていた手を止めてこいつを床に下ろします。 余程くすぐったかったのか、床に下ろしてからべちゃりと垂れて『ゆふー、ゆふー』と苦しげに息を調えています。 私が何をしていたかを詳しく描写するとすれば、主にこいつの胸と思わしき(?)部分を中心に揉むようにくすぐったと言うことですかね。 ただ、こいつ自身が顔だけなので、適当に顔でいう顎の部分を揉んでいただけですが。 いやあ、気持ちよかったです! 最初はお仕置きのためにやっていたのですが、その内自分がやりたいからやると目的がシフトしてしまうのも自然の説利と言う物です! 仕方の無いことですよ! 「…おほん! これに懲りたら、次から人のおやつを強奪しないこと! いいですね?」 果たして次があるのかさえ不明ですが、今度も又同じ目にあったら堪ったもんじゃないですのであらかじめ釘を刺して置きます。 すると、こいつが真ん丸よりもぺたんとした顔でこう言いました。 「ゆう…。おねーさんが、構ってくれるかなと思って。ごめんなさい」 どっストライイイイイイイイイイイクッッッ! 余りの可愛さに一瞬意識失いましたよ!? ねえ!? 何なんですか! 今の聞きましたか、『構ってくれるかな』ですっつ『構って』って! んくわいいいいいいいいい!!! 「お前! ちょっと私に頬擦りされなさい!」 「ゆっ! いきなり!?」 戸惑うこいつを気にもせずに手に抱えて、そのままこいつの頬を私の頬へと近付かさせて頬と頬を擦り付けます。 「ん、ちゅりちゅりぃ~」 最初は嫌がる素振りを少し見せていたものの、何だ間だいってこいつも目を細めて気持ちよさそうに頬を動かしています。このツンデレめ! 「そうだ!」 元はと言えばこいつのあだ名を決める為に呼び掛けたのにいつの間にか頬擦りになってしまったでは無いですか! いやあ迂濶でした、ゆっくりした結果がこれですよ! 私は頬擦りをするために掲げている腕を降ろす事なく、そのまま頬擦りを続行しながらこいつに問掛けます。 「お前、このままずっとお前をお前と呼ぶのは忍びなく思ったから何かあだ名を考えることにしました。何か呼んでほしい名前はありますか?」 「ゆっ? れーむは元々れーむだからあだ名なんていらないよ!」 …そう言えばそうでした。最初会ったときにこいつが『れーむはれーむだよ』とか言っていて、疑問にも思いましたがその後すぐにこいつがとんでもない事を言い出すからそのまま忘れていたんだっけ。 それにしてもこの髪型と名前…。どうしてもある人物が思い浮かんでしまうのは悪い事なのでしょうか。 いや、逆にその人物がいたずらを仕掛けて来ている可能性も…。無いか。 そんなことをする位だったらお饅頭の材料食べちゃいますよね。 「…ゆっ! もし、おねーさんがあだ名を決めるとしたらどんな名前を付けてくれたの?」 こいつ、いや。れーむが私に話しかけて来たのでこう答えました。 「そうですね…。『いいちこ』、とか?」 れーむは物難しそうな、言うなればヒョードルに立ち向かうチェホンマンの様な表情を隠す素振りも無く表しました。 ☆ 時間にして夕飯時よりも少し早めくらいでしょうか。 やぼ用と言って出ていった諏訪子様と神奈子様がまだ帰ってこないので、する事の無い私とれーむは縁側で夕暮れの太陽に毛布にくるまりながらたそがれ、ゆっくりしていました。 「…あー、雪掻き終わってないや。明日やろう」 明日になっても一週間後になっても実行出来なくなる魔の呪文を唱えてしまったのですが、温いんだから仕方が無いです。 寝室から毛布を持って来ておいて良かった、ぬくぬく。 「ゆぅ~。このふかふかは、とてもゆっくり出来るねおねーさん!」 れーむが毛布を被りつつころんと転がって仰向けになって言いました。 何で毛布被ってるのに仰向けになったことが分かるんだと言うと、単純にれーむが私のお腹の上でゆっくりしているからです。 いやあ、れーむのモチモチした肌触りが私のお腹とフィットするんですよ! 「ゆっ」 するとれーむは私のお腹からもぞもぞと動き出して、毛布から半分顔を出しました。うーん、心地好いお腹の世界だったのに。残念。 「どうしたのですか、れーむ? 暑かったのですか?」 「ゆうっ。このままおねーさんのお腹にいると、眠くなっちゃうもん」 れーむが床に体を擦り付けながら言います。 「別に、寝ていてもいいのですよ?」 「嫌だよ! れーむ、もっとおねーさんと一緒にいたいもん!」 一緒にいたいと言ってくれるのは嬉しいですが、果たして寝てしまうことといなくなることがどの様に関係するのでしょうか。 「れーむ、何か寝てしまうとここにはいられなくなってしまったりするので」 『早苗~! 帰ったよ『早苗ええええええええええええええええッッッ! 悪い虫にたぶらかせられていないかっ、大丈夫かああああああああああああッ!?』』 瞬間、玄関からとんでもない音量のあなたはここを道場と間違えてるのではないですかと疑問を持たざるを得ない声が聞こえて来たので、まどろんでいた私は思わずグッと体を起こしてしまいました。 れーむを大変驚いたようで、思いきり跳ね上がりそのまま縁側から外へところころと転がって行き、しまいには落ちてしまいました。 れーむが落ちてしまったときに出した『ゆぐっ』と言う声がこれまた可愛かった事はれーむには言わないでおくことにしましょう。 「ゆ、ゆっ!? ちべたい! じゃなくて、今の声は何!?」 「…私の両親です。あの大きな声は、神奈子様のものです」 本当はオンバシラと言われる象徴の様なものなのですが、あながち間違ってもいないし説明が楽な親だということでれーむに言いました。 「ゆくっ、あれが親…? れーむ、ご愁傷様」 れーむが残念そうに体を揺らして目を瞑っています。手でも重ねてるつもりでしょうか。 確かに四六時中あんな風に叫ばれては身が持たないでしょうが、私は神奈子様が本当に私のことを心配してくれている事を知っているし、何より叫ばれる事の方が稀だということを知っています。 れーむには、誤解されてしまった様ですがね。 「はーい、今向かいます~」 私はまだ睡眠を欲してる体に鞭を打つため、軽くけのびをしました。れーむを胸に抱えて立ち上がり、そのまま玄関に向かいます。 「おかえりなさい、諏訪子様、神奈子様」 「ほうら! 早苗は私の方を先に呼んでくれたじゃないか! 神奈子の心配性はわかるが、やりすぎなんだよ!」 「う、うむぅ…。反省する」 二人が何やら変な会話をしていますが、気にせずに玄関へと向かいます。 「改めて、おかえりなさい! 今日は新しい友達が遊びに来たんです!」 私はそう言ってれーむをお二人に紹介します。しかし、当のれーむは先程の声のせいかプルプルと震えて目を伏せて怖がっています。 「お、ゆっくりじゃないか。どこかで拾ったのか? 怖がっているようだが、早苗が何かしたんじゃないか?」 「気が付いたら家にいたんです。脅えている訳は、先程の声に怖がっているのですよ神奈子様」 「…むむぅ~」 神奈子様はおかしいな~と言わんばかりに唇を尖らせます。その様子がおかしく、思わず私はクスリと笑ってしまいました。 私はれーむにその様子を教えます。 「ほら、霊夢。あのたこみたいな顔をしている人がさっきの大声を出していた人です。怖くなんか、ないですよ」 「…ゆぅ~。あの二人は、ゆっくりできる人?」 「ええ、できますよ。ほら、自己紹介をどうぞ」 「ゆう、れーむはれーむだよ! ゆっくりしていってね!!!」 「ああ、ゆっくりしていくさ」 「私ちょっと空気じゃない?」 「ゆっ!」 れーむは嬉しそうに私の胸の中でぽよんぽよんと跳ねています。私達は夕飯を食べる為にそれぞれ居間と台所に向かいました。 ☆ 今日のおかずは里芋の煮っ転がしとだし汁に漬けておいた大根のお浸しです。れーむがいるので、いつもより多めに作っています。 「お、何だか嬉しそうだね~早苗。あのれーむって子がいるからかい?」 一緒に夕飯を作っている神奈子様が話しかけて来たので、その質問に素直に答えました。 「はい、そうです。れーむの反応が楽しみで」 「そうか、それは良かった。うきうきしている早苗を見ると安心するよ」 「…えっと」 「幻想郷に馴染めた様で安心したよってこと。さあ、料理運ぼっか」 私は自分の頬が赤らんでいく事がわかったので、返事はせず神奈子様に表情を悟られ無いように鍋掴みを手に纏い、煮っ転がしの入った鍋を手に持ちました。 そのまま、神奈子様の背中を追うように居間へと向かいます。 …―しかし、居間で諏訪子様と一緒に待っているはずのれーむは居ませんでした。その代わり下手くそな、一生懸命書いたのであろう字の置き手紙がちゃぶ台の上にありました。 『おかあさんかさんぱいするので、かえります。また、あそぼうね れいむ』 「…『れいむ』、じゃあどっちがどっちかわからないじゃない」 私は呆れながら煮っ転がしの入った鍋をちゃぶ台に置き、手紙を折り畳んで近くのたんすの上に置いておきます。 れーむが言っていた寝ると居れなくなると言うのは、単純なことだったんですね。『親が心配するから帰らないといけない』ということです。 「多めに作った意味が無くなっちゃいましたね、どうしましょうか」 「まあ、保存しとけば明日にでも食べられるし。いいんじゃあないかな」 「それもそうですね。…字を教えたの、諏訪子様ですよね。『が』の文字が『か』になっていますよ。『ち』だって反対になってますし。そもそも『さ』ですらありません、『し』ですよ」 「ケロ~…! そこまで揚げ足を取らなくたっていいじゃないか! 日本語むつかしいアルよ!」 「それじゃあ中国人ですよ」 アハハ、という笑い声が神社内に響きます。私は、神奈子様が持って来てくれたお皿に煮っ転がしを一通り盛りながら考えます。 次は、いつ会えるかな。 ☆ 澄みきった、色の薄い青空が裸の枝の上に広がっていた日のことです。雪掻きをしていて、休憩しようと縁側へと向かい、気が付いたらそいつはまたいきなり私の前に現れたのです。 「友達を連れてきたよ! ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっ! ゆっくりしていくがいいんだぜ! ゆっくりしていってね!!!」 増えてる…。 個人的に好きなタイプの話でしたw 早苗さんキャラが女子高生っぽいところとか。 未知の生物との邂逅って感じがするところとか。 あとなんといってもゆっくりが「欲情したの?」みたいな台詞を言う小賢しいところとか悶える。 AAであったにやりとした顔が思い浮かびました。 -- 名無しさん (2009-02-24 21 58 41) 早苗さんにゆっくり霊夢・・・・う~ん、似合いすぎる!! -- 名無しさん (2013-08-25 19 31 55) 名前 コメント